大川隆法総裁急逝「今からでも間に合う!幸福の科学入門」(前編)【もっちりーま】
宗教二世問題から考えるべきこととは(前編)
■2-4. 教団の映画や宇宙人霊言をネタにもした学園生活
私は学園内で常に成績下位でしたが、皮肉にも総裁や学園の先生方からのアドバイスを比較的素直に受け止め、大学では様々な本を読み、良き友人たちに恵まれたからこそ、今は幸福の科学から離れ、総裁先生、大川隆法氏のことを神ではなく人間として認識しています。
学園での思い出は(私が都合よく忘れやすいのもあって)、信者でなくなっても良い思い出の方が多いです。教団の映画や宇宙人霊言をネタにしたり、UFO探しに行くぞ!と言って夜に外を走り回ったり、朝のお祈りでエル・カンターレファイト(悪霊を祓う儀式。十字を二度切り、五芒星を切った後に正面に手のひらを出す動きをする。)した時に肘が曲がりすぎることを笑ったり、密輸と言って漫画やDVDやパソコン を持ち込んで貸し借りしたり…。
(漫画やDVDは持ち込み可、内容によっては取り上げがある。確か私がいた頃は『ひぐらしのなく頃に』や『デスノート』がダメだったが、高校生の場合は目を瞑ってくれていた気がする。パソコンは持ち込み禁止で、寮の共有PCを使わなければいけなかった。)
私は学園在学時代に教義をそれなりに勉強したことと、一般の大学で一人暮らしをして両親と物理的距離があったため、いわゆる「宗教二世問題」で語られる、教団関係者や両親から自己決定権を奪われることはありませんでした。
卒業式の感想でも触れましたが、幸福の科学は「基本的にはまとも」なことしか説いていないので、教義の上でも「親と子は別で意思や権利がある」ですし、私は学園進学さえも反対されながら「本当に責任を持って決めたのか、義務教育以降は自分で決めて自立して生きるように」と言われて育ちました。
しかし(教育分野で関わった職員方や信者の友達には助けてもらったことばかりなので言いたくないのですが)、いわゆるカルト被害者、宗教二世が訴える、「信者同士がマウントを取り合う人間関係」や「多額のお布施(教団に寄付すること)問題」も確かにあります。
■3-1.「心を燃やせ!」家が燃えた時の話
私の実家が火事で全焼した時、そのことを知った職員や信者の知り合いたちは私たちに「大勝利祈願受けない?」や「講演会があるから本会場に入って欲しい」と連絡してきました。善意で「奇跡が起こるように(何に大勝利するんだ?)」、「総裁先生の肉声を聞いて奇跡を感じるように」、と声をかけてくれたのだと思いますが、家の物全てが燃え、財布や携帯やあらゆる身分証明書もなく、公民館に避難して、火災の後片付けをしたり、近所の人に謝ったりしている状況の人が、どうやって会場まで行くのでしょうか。どうしたら祈願のお金を払えるのでしょうか。
■3-2. 「波長同通」、「因果の理法」の教義
幸福の科学には「その時々の心の状態によって魂の次元が変わる」という「波長同通」の教義があり、死後の世界でも魂のレベルによって住む世界が変わります。そのため「祈れば救済される」どころか、何か失敗した時や、苦しいことがあった時、それは完全に自己責任なのです。
自己責任といっても「神から与えられた課題だよね」というポジティブな原因派(この課題を乗り越えると良い結果を得ることができると考える)と、「心がよくないことを想っていたからトラブルを引き寄せてしまったのだ」というネガティブな結果派(悪い意識を原因とし悪い結果が起きたと考える)の、2つの方向性があります。
どちらにせよ「因果の理法(物事には必ず原因と結果があると考えること)」という教義は一貫しており、「反省」して何かを直せば(つまり原因を変えれば)、「復活」はする(状況が改善し良い結果を得られるという意味)のですが、同情するとか、助け合うという文化は根付いていません。
救いたいと想ってくれるなら、一瞬様子を見に来て声をかけてくれるだけでも、経典を1冊貸してくれるだけでも、もしくはメールでどこかのページを写真で送ってくれるだけでも、宗教的な救いにはなったはずです。しかし、実際は1週間以上経ってから「選挙で忙しかった」という言い訳や「信仰心が危機的な状況で悪霊に狙われていたのではないか」というような内容のメールが届きました。